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ジャーナル
vol.20

ラボグロウンダイヤモンドと類似石の違い

日本初のラボグロウンダイヤモンドブランド[SHINCA]ブランドをローンチしてから、2023年10月1日で5年が経ちます。その中でお客様からのご質問で最も多い、ラボグロウンダイヤモンド(合成ダイヤモンド※以下省略)と天然ダイヤモンド、さらに類似石の違いについて、詳しくご説明いたします。

合成石と人造石の違い

日本国内では、一般社団法人日本ジュエリー協会(JJA)と一般社団法人宝石鑑別団体協議会(AGL)の両団体が1994年に制定した「宝石もしくは装飾用に供される物質の定義および命名法」において、人工生産物の呼称を、「合成石」「人造石」「模造石」に分類 しています。これによると、同種の天然石が存在する人工生産物は「合成石」であり、人工的に製造されたダイヤモンドは合成ダイヤモンドと呼称します。また、天然に対応物が存在しない人工結晶は「人造石」であり、キュービックジルコニアは人造キュービックジルコニアと呼ばれます。

ラボグロウンダイヤモンドと天然ダイヤモンド

ラボグロウンダイヤモンド(Lab-Grown Diamonds)は、天然ダイヤモンドとは生み出される環境が違うだけで、科学組成や、光学的・物理的特性も同一です。天然ダイヤモンドもラボグロウンダイヤモンドも炭素(C)のみで形成されており、硬度、屈折率、分散度などの特性の値がすべて天然ダイヤモンドと同じです。また、ラボグロウンダイヤモンドも天然ダイヤモンドと同様に、優れたカットを施すことで、輝きや煌めきを持たせることができますが、原石(ダイヤモンドをカットする前の状態)のカラーや、内包物の状態、カットする職人の技術により仕上りが異なります。そのため、ラボグロウンダイヤモンドにも天然ダイヤモンドと同様に国際基準が定められたグレードが存在し、鑑定書がつくものもあります。そして皆様が最も驚かれるのが、美しいグレードのものばかりを量産することができないということ。ラボではあくまでも成長を促す環境を整えているだけなので、現段階ではそのクオリティまではコントロールできません。個体差のある美しさも、天然のダイヤモンドとラボグロウンダイヤモンドが持つ魅力のひとつなのです。

合成石のモアッサナイト

モアッサナイト(Moissanite)は、主成分が炭化ケイ素(SiC)で生成された鉱物です。自然界には限られた地層にごくわずかにしか存在しないため、天然のモアッサナイトを見つけるのは非常に困難とされています。そのため、市場で見かけるモアッサナイトは鉱物と全く同じ化学組成で人工的に合成された、いわゆる「合成石」に分類されるものがほとんどです。合成モアッサナイトは天然のモアッサナイトと比べて、光の屈折率がダイヤモンドと近いため、判別するためのダイヤモンドテスターという機械があるほど、メジャーな合成石となりました。モアッサナイトの特徴の一つとして、虹色に分散する光(ファイア)が挙げられます。1カラット以上の大きなサイズのモアッサナイトは、強力なファイアを放ち、「ディスコボール効果」と呼ばれるほど激しく輝きます。但しモアッサナイトは見た目が似ているだけで、天然ダイヤモンドやラボグロウンダイヤモンドとは全く別物の「類似石」となります。本来であれば「合成モアッサナイト」「ダイヤモンドの類似石」と正しく表記される所を、「モアッサナイトダイヤモンド」や「合成ダイヤモンド」、「人工(人造)ダイヤモンド」と販売されている事もある為、注意が必要です。

人造石のキュービックジルコニア

キュービックジルコニア(Cubic Zirconia)はCZとも表示され、ダイヤモンドと見た目はそっくりですが、こちらは天然の鉱物には存在しない物質を人工的に作り出した「人造石」に分類されます。「ジルコン」という鉱物が存在しますが、化学組成が異なるため、全く別物です。キュービックジルコニアは物質としての硬度が弱く、重量も軽いのでダイヤモンドとの鑑別は容易です。キュービックジルコニアも見た目が似ているだけで、天然ダイヤモンドやラボグロウンダイヤモンドとは全く別物の「類似石」となります。本来であれば「(人工・人造)キュービックジルコニア」「ダイヤモンドの類似石」として正しく表記される所を、「合成ダイヤモンド」「人工(人造)ダイヤモンド」「cz(キュービックジルコニア)ダイヤモンド」と販売されている事もある為、注意が必要です。

模造石のクリスタルガラス

クリスタルガラス(Crystal Grass)は、ガラスの主成分に酸化鉛を加えることにより、透明度と屈折率が高まり水晶(クリスタル)のように輝く人工的に作られた透明なガラスです。主成分はガラスなので「模造石」に分類され、もちろん天然のダイヤモンドやラボグロウンダイヤモンドとは全く別物です。虹色がかった輝きが特徴ですが、天然のダイヤモンドやラボグロウンダイヤモンド、またモアッサナイトやキュービックジルコニアとは異なり、違いははっきりとわかります。最近では宝石ガラスという新しい素材も出てきており、天然のダイヤモンドに匹敵する輝きなど言われておりますが、硬度などの特性が違う為、使用用途などをふまえて選ぶ必要があります。

輝きの美しさ、その違いはどこにあるのか

ラボグロウンダイヤモンドも、類似石(合成石・人造石)も、どちらも人の手によって作られています。一見ダイヤモンドと似た輝きを持つ類似石が多く存在しますが、「輝きの美しさ」は、硬度・屈折率・分散度のバランスの取れた組み合わせで決まります。これらを紐解くと、その輝きの違いがはっきりとわかります。最初の表をご覧ください。
(※クリスタルガラスについては、「模造石」にあたるため宝石と同様の検査結果がなく今回の比較対象からは外しています。)
まず「硬度」は、硬いほど研磨面が綺麗で表面反射しやすい特徴があり、硬さは上から順にダイヤモンド、モアッサナイト、キュービックジルコニアとなります。
次に「屈折率」は、高いほど臨界角が大きくなり光が逃げず跳ね返ってきます。ここではダイヤモンドは高い数値ですが、実はモアッサナイトはそれ以上に高い数値となります。
最後に「分散度」は、高いほど虹色が強いギラギラとした輝きになります。ここでの数値は相対的にダイヤモンドが低い数値となりますが、ダイヤモンドの奥ゆかしい上品な輝きは、この分散度が程よい数値であるからこそ。ダイヤモンドの輝きは、化学的にも非常にバランスの取れた美しさなのです。

天然ダイヤモンドと同じ輝きを持つラボグロウンダイヤモンド

天然ダイヤモンドと、ラボグロウンダイヤモンドは、育つ環境が違うだけで同じ物質であり、その輝きは唯一無二。類似石は見た目も似ており安価で手に入る一方で、正しく表記されていない場合もあります。正しい情報をもって安心してお買い求めいただけるよう、これからもSHINCAはお客様のお役に立てる情報をお届けして参ります。
※2023年7月 更新

出典:一般社団法人宝石鑑別団体協議会(AGL)
宝石もしくは装飾用に供される物質の定義および命名法に関する規定より
詳しくはこちら
2020年12月 改定

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